100年企業とのご縁850社以上! 「ものがたり創造人」に聞く、長寿企業の法則と企業理念。

諸説ありますが10年間企業が存続する割合もわずか6%にすぎないといわれています。そんな中、100年続く企業にはどんな共通点があるのでしょうか?
実は全世界の100年企業の内、41.3%が日本企業だという統計も出ています。

「ものがたり創造人」として、数々のメディアを立ち上げ長寿企業と共に伴走し続けてきた株式会社チエノワ 代表取締役社長 CEOの田中雅也さんは、2022年、株式会社玄文社から「100年企業の「知恵」から学ぶ”絶対に潰れない”法則」を出版し、話題沸騰中。

唯一無二の「智慧の燈火(ちえのともしび)プロジェクト」について、そして企業の成長の秘訣について伺いました。

未来図を見える化する仕事
近著に込められた想いとは。

株式会社チエノワは2013年に創業した会社です。テレビ番組やタレント等を活用するなど、様々な広報戦略を立案し企業の「ものがたり」を創造し、多くのクライアント様、100年企業の経営者の方々と関わって参りました。

しかし、他社の戦略は考えられるものの、自分自身の広報戦略となると…。恥ずかしくて考えることができませんでした。メディアには一切出演しませんでしたし、SNSも一切発信していません。
だからこそ、自らの本(出版)など考えたこともありませんでした。
ただ悩みの一つが、初めて会った人に自分自身を十分に伝えられる手段が無かったことでした。その相談に乗っていただいた株式会社サニーサイドアップの代表取締役 次原さんより「だったら本を書きなさい」と、バッサリ一言で返されました。(笑)

株式会社チエノワ 代表取締役社長 田中雅也さん

今回の書籍によって田中雅也という人間についてご理解いただければと、サッカー少年だった過去や社会人になってからの挫折体験などにも触れています。

出版後、幾つかの書店に伺い、限られた売場面積では商品が常に入れ替わること、大手出版社でなければ陳列棚を取り続けるのが大変なこと等の現実を知りました。

同時に、”本の根本的な価値とは何なのか”と考えました。「週刊誌」はタイムリーな情報、一方「書籍」はいつ誰が読んでも、時を越えて著者本人のストーリーを伝えて対話し、ご縁を繋いでくれるタイムマシンのようなものと、制作に携わる中に実感しました。

そこで、これまで応援してくださった皆さまには、感謝の気持ちを表紙の裏に綴って本を贈りましたが…
トップ企業の社長自ら、このように手書きのメッセージを頂戴し、本当に有難く嬉しい限りでした。

株式会社チエノワ 代表取締役社長 田中雅也さん

手書きメッセージ

100年、200年前の先人たちが掲げてくださった未来図を今一度見つめ直し、今日まで日本を支えてくれた皆さまに教えを賜り、共に前へ進めていくことが、私の役割です。
これからも全国各地でセミナーやイベントを開催していきますので、どこかでご縁ができた方々がこの本を手にとっていただけたら嬉しいです。僕自身も語り部のごとく活動を推進する中で、新たな書籍を出版し知恵を未来へ繋いでいけたらと思っています。

智慧の燈火プロジェクトのきっかけとは?
長寿企業にスポットを当てる!

私が長寿企業の経営者の方々と関わり合うきっかけとなったのは、2015年から手掛けたテレビ番組の企画でした。その時までは、お恥ずかしながら”日本を引っ張っていくのは新進気鋭のベンチャー企業が起こす革命だ!”と考えていました。
時代の先端を歩むIT企業が、これまで聞いたこともないツールを駆使して世の中を変えていく、同様のイメージを持っている方もいらっしゃると思います。
しかし、その考えは根底から覆されました。

日本は世界一の長寿企業大国だということがわかりました。
実に世界の100年企業の内、41.3%が日本企業であり、200年企業となると65%超。約3分の2が日本企業という驚きの数値が出ているのです(2020年 株式会社日経BPコンサルティング調べ)。

更に創業から1000年続く企業をリストアップしてみると、社寺建築修繕の会社さんや老舗旅館など11社が存在しています。

ただしこれらの長寿企業、超長寿企業の名は一般の方々の耳にはあまり届かない。
地元の名店や、知られざる伝統企業といった小規模な企業がほとんどなのです。故に全国的は知名度に広がっていかない。

私が「智慧の燈火プロジェクト」と名づけた事業をスタートさせたのは、まさにここに理由がありました。
それぞれに知られざる「ものがたり」がある。そう確信したからこそ、この事業に本腰を入れる覚悟を決めたのです。

智慧の燈火プロジェクトを通じ見えてきた、長寿企業の共通点とは。

株式会社チエノワ 代表取締役社長 田中雅也さん

数多くの経営者にお話を伺ってきた中で、長寿企業には3つの共通点があることがわかりました。

1つ目、信用第一。地域に愛されていること。
2つ目、身の丈に合った経営。必要以上に事業規模を拡張せず、等身大のままで経営を続けていること。
3つ目、奥ゆかしさ。「自分達は当たり前のことをしているだけ」と、とりたてて自らをアピールすることはありません。

これらが空気のように融合していく中で、地域や人々とともに長い間歩みを続けていられるのです。

また、長寿企業だからこそ、事業承継や自然災害など、様々な障壁を乗り越えてきている。
ここに隠されていることこそが存続するための知恵であり、言い換えれば「ご縁」、あるいは「運」と言うこともできると思います。

自然と地元の皆様に愛される存在になっているからこそ、不思議な運が味方をし、ご縁となって大きな危機も乗り切ることができた、そうおっしゃる経営者の方は少なくありません。

長寿企業のトップは本音を喋らない。
なぜチエノワなら引き出せるのか。

我々はこれまで850社以上の長寿企業のヒアリングを行い、広報・PR戦略を立案し、未来永劫にわたりパートナーとなり得るための努力をしてきました。

よく調査会社などが長寿企業のリストをまとめていますが、これらのほとんどは社歴をなぞっただけで、深層まで掘り下げることができていません。これは非常にもったいないことです。

100年以上続いている会社に、一体どんな成功体験があって、どんな法則があるのか?
こうした知的財産を集約することは、更に多くの会社の長寿化に貢献できるはずです。

ただし、いきなり「御社の成長の秘訣を教えてください」と言っても企業のトップはそう簡単に口外しませんし、どこの誰だかわからない人間に本音を話すことはまずありえないでしょう。

だからこそ、お客さまの元にお伺いする際には徹底的に調査するのです。ネットに出ている情報は隅から隅まで全てまとめ、その会社の歩みや経営者のことを知り得るだけ知り尽くした上で訪問します。

Webにある情報をくまなく集めたインタビュー前の調査資料。
(Webにある情報をくまなく集めたインタビュー前の調査資料。)

これだけの事前準備をして引き出せる本音、そしてそこから見えてくるものがたりを紡いでいくことで、インターナル・ブランディング(自社の理念や価値を、社員やステークホルダーに浸透させること)が体現され、組織一体となったエネルギーを生み出せるものと考えています。

その集大成が、私たちにしか出来ない「智慧の燈火(ちえのともしび)プロジェクト」なのです。

長寿企業に家訓はなかった!?
企業理念の根本にあるものとは。

長く続いている企業ならば、それなりにノウハウがあるに決まっている。
家訓のようなものがあって、それが浸透しているからこそ存在できているのでは?
普通ならこう考えるでしょう。私もそうでした。

誰が掲げたのか定かではない家訓が、二代目、三代目と継承されている例もありましたが、実は「そんなものはない」という企業も多いです。一方、「明文化したものがないだけで、伝えるものがないわけではない」ということもわかってきました。

つまり、家訓を明文化すること、企業理念のようなものをつくることは、智慧の燈火プロジェクトにおいて肝心なポイントであり、企業の「ものがたり」を創造する過程で生み出されていくものだということに気付かされたのです。

しかし、ストーリーを見える化すると言えば聞こえはいいですが、結局のところ浸透していかなければ何の意味もないのです。最重要課題は「語り部づくり(語り継げる人を育てること)」です。

頭に入っていなければ語れないですし、体験していないことは伝わりもしない。語り部を育てるには、まずベースの共通言語を作って学び合い、共通体験を通して共通認識を高める。更に、社内外の方々と語り合うことで共通理解へと深めていくことができる。これが原理原則だと思います。

1760年、江戸時代中期から営業を続ける老舗鶏料理店「玉ひで」でのインタビューにて
(1760年、江戸時代中期から営業を続ける老舗鶏料理店「玉ひで」でのインタビューにて)

結局、1000年企業という超長寿企業にまで掘り下げていった時、どんな会社が生き残っているかというと、まるで宗教のように多くの人に浸透し、愛され、必要とされ続けている存在であることがわかってきました。

もちろん怪しい新興宗教みたいなものではなく、仏教、イスラム教、キリスト教といった、ある意味、基本的な価値観みたいなものができあがっている企業こそが末永く経営を続けられています。

今では当たり前のように世界に根付いている宗教も、かつては布教活動があり、地域を回って「ものがたり」を語っている人がいたわけですよね。同じように現在でも、色々なところで話を聞いたり本を読んだりする機会がある。そうしてご縁がどんどんとつながっていって、脈々と世界中の人に受け入れられていったと思っています。

企業も同じでその「ものがたり」を知ってくれる人、その会社の商品やサービスを長年利用してくれる人、その企業や商品・サービスを語ってくれる人がいるからこそ存在するのです。限られた大口のスポンサーに依存しているような会社では、環境の変化などのピンチに耐えることができないのは当然です。

つまり、企業理念を通じて、その企業を愛してくれる人を増やしていく。そのための「ものがたり」を描くことはとても大事で、長期的な展望がしっかりしていればしているほど、その会社が進むべき道は明確になっていきます。

「普遍の価値観」というものが社内外で共有できれば、どんな自然災害が起ころうと、どんなに経営状況が苦しくなろうとも、ピンチをチャンスへ変換し強い組織へのキッカケとなります。
これが企業理念の根本ではないでしょうか。

完成形はない自社のクレド
チエノワ・カルチャー・クライテリア(CCC)とは。

クレド

ちなみに弊社でもインターナル・ブランディングを推進していくためにクレドを策定しています。

チエノワ・カルチャー・クライテリア、略してCCCと呼んでいるものですが、これは理念を浸透していくために言語化したもので、半年に1回アップデートしています。

社員一人ひとりが主人公であって、主人公になっていくための短期、中期、長期のビジョンを描いてもらい、最終面接で提出してもらっています。描くことで目の前の困難を越えられる。自分のための努力というのは限界がありますが、チームのため、誰かのための努力だったら越えていけます。

多くの人が短期のビジョンしか見ていません。長期ビジョンが描けていれば、壁が現れて遠回りしても最後には到達できます。

現状のクレドは私の体験がベースになっていますが、これを元にそれぞれのメンバーが体験したことを付け加えて語ってもらうことが重要です。そのベースがチエノワ・カルチャー・クライテリアなのです。

長寿企業の知恵は、中小企業における羅針盤

企業理念は目に見えないものですが、経営者の想いや哲学、長寿企業に秘められた知恵は、現代企業における羅針盤であり、未来への道標です。
企業の燈火を未来へつなぐことこそが、プロジェクトの本質です。

私たちの想いに共感くださる大先輩方から多くの学びをいただき、その宝を未来の経営者に残していくために、これからも全力を尽くしていきます。

 

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