驚異的な出版マーケティング事例④~「CAZ」

2020年4月18日

本の企画から販売戦略までをトータルプランニングする「出版企画・出版総合プロデュース」会社のスタックアップです。

 

この企画もすっかり定着してきました。弊社の取締役でもあり、言わずと知れた“スーパー出版プロデューサー”平田静子のマーケティング事例第4弾です!

 

今回は書籍ではなく雑誌です。雑誌まで手がけていたとは驚きですね。今のようにインターネットが個人の手になかった1989年に創刊された情報誌「CAZ」。1989年といえばバブルの崩壊を思い起こす人もいるでしょう。そう、CAZはまさにバブル崩壊後の経済低迷期を共にした雑誌で、その根底には女性の“欲“を刺激して世の中を少しでも明るく盛り上げていこうという趣旨がありました。CAZが打ち出した価値観は今の時代を生きる私たちにも共感できるところがたくさんあります。

 

情報は雑誌頼りの時代。役に立つかどうかで情報の価値が決まる

 今でこそ必要な情報はスマホで拾う時代ですが、CAZが創刊された30年前は新聞や雑誌などの紙媒体で情報を拾うことが一般的でした。旅行に行くなら「地球の歩き方」、映画やコンサートに行くなら「ぴあ」など、まるでバイブルのようにそれらを持ち歩く若者が多くいたのもこの頃です。旅行とまではいかなくとも、週末にちょっとおいしいお店に行きたい、おしゃれなお店でデートしたいなどというような、日常をワンランクアップさせるような情報も求められ、「Hanako」「TokyoWalker」など首都圏の都市情報を専門とする雑誌も数多く創刊されました。

 

 

 

情報の羅列が情報誌の使命ではない。量より質を追求

 CAZという雑誌が存在したのはまさにそんな情報誌が他にも多く存在していた時代で、それらの中から頭一つ抜けるには雑誌のコンセプトを他と違うものにしなければならない。「今までにない情報誌を」そう思って平田はCAZという雑誌の戦略を立てました。そして考えたのは情報の“量”で勝負をしないということです。量で勝負をしている雑誌は他にもある。しかしCAZは女性をターゲットにしているので、女性がワクワクするような誌面は情報の羅列ではないことを直感的に知っていました。では何で勝負するのか。それは感情に訴えるような圧倒的な視覚情報。写真を大きく使用した大胆な構成で、見た瞬間に「食べたい!」「行きたい!」と欲をそそられるような誌面による雑誌を目指しました。

 

 

シズル感を誌面で伝える。まるでそれを体験しているかと思うようなリアルな表現

雑誌は書籍と違って視覚情報の量が圧倒的に多いという特徴があります。大胆に見開き一面に掲載された写真は見る人にインパクトを与え、欲望をそそるには十分な役割を果たしています。グルメ情報であれば匂いや味、食感などを感じられるような鮮度のある写真、 旅情報であればダイナミックな自然の様子を感じられるような清々しい写真など、まるでそこに行ってそれらを体験しているような五感に訴えかける写真で誌面を構成しました。文字情報で埋められた誌面が主流だった情報誌の中で、見開き一面で一つの場所しか紹介されていないような誌面構成は異色だったといいます。

 

テンポラリーな対談企画で読み物としての強度も持たせる

 CAZが異色だった点は他にもあります。それは情報だけではなく読み物としてのコンテンツも雑誌に取り入れたことです。扶桑社はフジサンケイグループなので芸能人とのパイプもあります。そこで誌面に華やかさを加えるため月9の主演クラスの女優や俳優を迎えた対談ページを毎号掲載したそうです。当時の情報誌には芸能人が登場する企画、ましてや対談企画などはどこを見渡してもなかったそうで、そういう意味でCAZは頭一つ抜けた雑誌として感度の高い女性たちから支持されました。

・・・

 このように、平田は雑誌においても独自の視点で進路を切り開いていきました。スマホでいくらでも情報を拾える時代ですが、雑誌の持つ力は今もなお健在なのでしょう。一枚の写真をきっかけに新しい世界が開けてきた…そんなことが今もどこかで起こっていると信じています。