経営理念が浸透しない理由と取り組み

第1回目の前回は、なぜ経営理念や企業理念が大切なのか、その2つの理念を従業員の心に浸透させることにこだわるのかについてお話しました。

今回は、その2つの理念は従業員の共感を得られるような理にかなったものになっているのか、時代の流れに対応できているのかについて焦点を当てていきます。

 

 

その経営理念や企業理念は正しいのかと立ち止まって考えた日

新灯印刷(スタックアップの親会社)の社長を受け継いで、経営者としての信条という経営理念を作り、それを基に企業を盛り立てて行こうかと企業理念を考えた時、それらをどのように浸透させていったらいいだろうと考えました。
考えているうちに、果たしてこの経営理念・企業理念でいいのだろうかとさえ思いました。

 

仕事は【社会貢献=誰かの役に立つ】ためにしていることですが、それだけでは企業としては成り立たず利益を得ることが必要です。
企業として、経営理念・企業理念の方向性が正しいかどうかという答えは、私たちの事業が役に立っていると思っている人たち、つまり、お客様が持っているのではと思い、顧客1社ずつに、どうしてうちを選んだのかを聞いて回ったこともあります。

 

前回、経営理念を「100年以上続く企業を目指す」と決めたとお話しましたが、いつまでも需要がある企業を目指すためには、お客様が数ある印刷会社の中から新灯印刷を選んだ理由を知りたかったからです。

結果的には、顧客からいただいた回答により、客観的に見ても私が作った理念は貫いても良さそうだと確信することができました。

 

 

2つの理念が浸透していないことの危うさ

経営理念が従業員に浸透していないと、その上に構成されている企業理念がぐらつくので、1つ1つの取り組みに対する指針がなくなります。
そうすると何のために仕事をしているのかを考えなくなり、目の前にある業務をこなすだけで良いと思ってしまうので、お客さんがその先に何を望んでいるのかというニーズが見えなくなります。

 

2つの理念が浸透していないと感じた経営者は、私のように理念自体が理にかなっているのかということを考え直してみた方がいいのかもしれません。

 

大事なことは、従業員が思いを1つにすること。
そのためには、彼らに2つの理念を明確に示して共感してもらうこと。
それらができていないと、従業員の心に浸透せず、気が付いたら経営者が単独で突っ走るみたいなこともあるが起きると思います。
実際に、私も社長に就任する前はよくありましたから。

 

従業員に企業理念が浸透していないと思われる一例

社会貢献=CSRというと、よく会社の前の道路を掃除したりしますよね。うちの近所にもそういった会社があります。気だるそうに掃除している従業員の姿を見ると、この人はどんな社会貢献だと受け止めているのか…と思うことがあります。

「掃除する」という行動は同じでも、掃除をしている従業員が何のためにしているのかを理解していないと本来の意味がなくなってしまいます。

 

そんなときに必要なのが「企業理念」という名の行動指針。
経営者がどんな思いを込めて起業したのかという経営理念に基づいて作られた企業理念がキーポイントで、従業員が共感しているのであれば素晴らしい行動です。

 

「社会に貢献しましょう」という企業理念で、従業員に自分の会社の前の道路だけを掃除させるという見せかけの働きかけをしても、彼らの心に浸透するはずがないのです。
経営者は「私の会社は、毎朝道路の掃除をしているんだよ」と言う前に、従業員が「今日、当番だからとりあえず掃除しよう」と義務的にやっていないのかを確認してみた方がいいかもしれません。

 

移り行く時代と企業理念へのニーズ

経営理念や企業理念は世の中に受け入れられ、浸透させるべきだと思います。
企業はボランティアではないので、社会に受け入れられる事業だとしても利益がなければ衰退していきますが、その大前提として、そもそも社会に受け入れられない事業は衰頽していきます。

 

例えば、日本の人口の大半が携帯電話を持っているので、情勢からしても電話ボックスを設置する事業は右肩下がりであることは明らかです。これまで、当たり前のようにあると思っていた事業がどんどんなくなっているし、そのスピードも速くなっていますが、その反対に、今まで思いもしなかった事業が急成長を果たしていますので、企業理念も、社会のニーズを正確にキャッチしなければなりません。

 

経営者は、企業理念が世の中に浸透しないことを考える前に、その理念が社会のニーズと合っているのかということを考えてみていただきたいです。

 

 

企業が衰退しないために

常日頃から、社内では従業員が経営理念や企業理念をもとに行動できているのか、社外では経営理念や企業理念が社会のニーズに合っているのか・ニーズを作りだせているのかと照らし合わせていくことで、それらの理念にはある程度柔軟な幅を持たせ、修正も厭わない姿勢でいる必要があると思います。
理念が浸透しないと考える前に、今ある理念に固執し続けていく経営者は、長続きしないのではと思うからです。

 

例えば経営者が会社を売却して経営者が交代したとしても、経営理念が浸透していれば会社自体は続いていきます。
もっと言うと、会社が成長するためには企業理念を変えて業態を変えたっていい。
経営理念がしっかりと浸透していれば何の問題もおきません。

現にこの出版プロデュースを事業とする「スタックアップ」という会社ができたのは、印刷業である新灯印刷が「100年以上続く企業を目指す」という経営理念のもとで、そのためにはどうしたらいいかを考えた結果です。

 

 

社内外に経営理念や企業理念を浸透させるための出版に興味をお持ちになられた方は、ぜひスタックアップまでご連絡をください。無料での相談も受け付けております。

 

第1回はこちら→経営理念の浸透はなぜ大切なのか?3代目の事例からお伝えします

第3回はこちら→【事例!】経営理念が浸透しないと、現場で何が起こるのか

 

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