思い通りの色を演出する、印刷技術。読みやすい印刷はこうしてつくられる。

株式会社スタックアップ編集部の社員Tです。売れる本を出版することを目指して、出版企画プロデュースを日々勉強中です。

当社は、本の企画〜販売戦略までをプランニングする「出版企画・出版総合プロデュース」の会社です。

スタックアップにて出版が決定した本は、グループ企業の母体である「新灯印刷」で印刷・製本されます。著者や出版社の意向に沿う仕上がりにすることはもちろん、本のジャンルによっては色味の調整で大きく印象を変えてしまう、ビジュアルが重要視されるケースもあります。
スタックアップが自信を持ってお客様に出版をおすすめできる1つの理由には、こうした印刷技術があります。

そこで本日は、印刷部門を取り仕切る新藤機長に話を聞きました。

■この道40年の大ベテラン。

イ:新藤機長、先ほどは1階の印刷工場で取材の準備を進めてくださいましたね。今日はよろしくお願いします。
さて、新藤機長は印刷の道で40年、勤めてこられたのですよね。

新藤:ええ。友人に誘われたのをきっかけに20歳の頃からです。
長らく勤めた会社で印刷技術のイロハを叩き込まれ、書籍を始めパンフレット、カタログなどの印刷を行ってきました。

イ:今でも1日に何万枚も印刷していますよね。

新藤:そうですね。4万枚くらいは6時間程度で仕上がります。

イ:この道1本、その長い歴史の中で印刷手法も様変わりしたのではありませんか?

新藤:大きく変わったことは、使う印刷機です。
昔は手作業の工程が今よりもっと多かった。それは体力のいる仕事でした。

現在当社ではセミオートの印刷機を使用していますが、紙積みやインクを転写する「ブランケット」と呼ばれるパーツの洗浄など、繊細な技術を必要とする部分は丁寧に人の手で行います。ここの汚れは印刷時、塗りつぶすはずの箇所に白い点ができたり、文字が欠けてしまったりする原因となります。

機械の種類は様々ありますが、どの機種でもメンテナンスは手作業です。工程が自動になっても、常に綺麗に印刷できる状態を維持できるかは、経験と知識が物を言います。


(よく見ると「114」の周辺に黒い点が付いている。例えとしてその場で印刷してくれた。)

 

イ:それは納得です。全行程が不具合なく順調に進むか、新藤機長のような経験豊富な人がいるというのは心強いです。しかし、紙を積む作業というのは、真っ先に自動化したいところではないかと思いますが、セミオートでも手作業というのには何か理由があるのでしょうか。

■「印刷」はまさに職人の世界

新藤:まず、一言に”紙を積む”と言っても、ただそこにボンボン積んでおけばいいというものではありません。機械の稼動スピードに合わせて、紙がテンポよくスムーズに流れていくようにセットする。
少し細かく言うと、重なる紙と紙の間に空気を入れて、台に向かって真っ直ぐ積まないと、機械が1枚1枚をうまく流すことができないのです。
昔は紙積み3年、水を見て2年とよく言われたものです。


(セットした紙が印刷機に取り込まれていく様子。)

 

イ:ただ積むだけではダメなのですね。
紙を3年も積んだあと、さらに今度は水を見るとは。まさに職人の世界です。
水の管理についてこの記事を読んでいる方にもわかるよう、詳しく教えていただけますか。

新藤:これが印刷で最も重要なことですが、水とインクのバランスを調整します。また水のph値(水の酸性・アルカリ性などを表す数値)もコントロールします。バランスが崩れると表面張力が起こらなくなってしまうので、この定量管理、技術の習得にも修行が必要なので「水を見て2年」と言われていたわけです。

そして印刷物というのは、細かい点の集合体から成り立っているもので、ルーペなどで見るとよくわかりますが多くの点があります。


新藤:カラー印刷は、この1つの点の上にCMYKの4色が乗っているのですが、
印刷時に水が多すぎるとインクが乳化してドロドロになり、この点が綺麗に出せずベタッとした仕上がりになってしまいます。点がちゃんと出なければ色合いの調整はもちろんできません。
使用する紙の性質もありますし、なにより著者の好みのイメージにどれだけ近づけるか。
濃い方がいいという人もいれば、薄めを好む人もいる。
目で見たときに印刷の濃さがどのように見えるかは、紙面の文字量や書体の太さと関係していて、こればっかりはハッキリと指示書で出せるものではありませんので、腕が鳴るところです。

■本物を知っているから、その色が出せる

イ:仕事の丁寧さが際立つ、繊細な業務なことがよく理解できました。
最後に、新藤機長は「自然をよく見なさい」といつも言っていますよね。それも色の勉強だと。

新藤:昔の先輩から教わったことです。
「実際の色を知らなければ印刷にもできないだろう」とね。

だから私は自分が印刷した本も休憩中によく読んでいますが、その他にも図鑑はよく見ます。草花や自然の創り出す色、そして濃淡。カラー印刷の良さはここにあるのです。
本物の色を知り、カラー印刷の美しさ、そして効果を存分に発揮させる。並んでいる本の中から思わず手に取ってしまう強い第一印象を残すのです。

イ:新藤機長…。深いです。
自然を見に行くことはあリますけれども、「どんな色が融合して…」だとか「この緑と奥の森の緑はこう違う」とはまず考えていなかったです。これから世界の見え方がちょっと変わりそうです。

そして本ができる最後のプロセスまで心ある仕事で締めくくれるのは、著者、出版社といったお客様が喜んでくださるのは素より、共に働く私たちも嬉しいです。その反面、改めて気が引き締まりました。

スタックアップでは、出版プロデュースや製本・印刷に関するご相談も受け付けております。
鮮やかなカラー印刷をご希望されるお客様の、ご期待にお応えします。
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