東邦出版 中林さんに聞く!売れるサッカー本とは?(前編)

2018年12月06日

ビジネス書・実用書を中心に、出版の企画から販売戦略まで総合的にプロデュースするスタックアップです。
 
今回は東邦出版の書籍編集部長の中林さんにお話をうかがいました。
今までサッカー関連の本を150冊ほど出版されてきた、サッカー本の第一人者である中林さん。
 

 
サッカー本というと専門性の高いイメージがありますが、そこから人々に何を伝えているのでしょうか。
また、本づくりの上で大切にされていることとは?
 
まずは前編です!
 

■はじめからサッカーの本を作るつもりで編集者になった

インタビュアー(以下イ):どうぞよろしくお願いいたします。
まず、中林さんのこれまでのお仕事について教えてください。担当されてきた書籍はサッカー中心ということですが…。
 
中林さん:はい。今は担当の半分がサッカー、半分がその他のジャンルです。
スポーツの書籍だからといって、仕事の進め方が普通の編集者と違うということはありません。
 
イ:そもそも、なぜサッカーの本だったのでしょうか?
 
中林さん:僕の場合は最初からサッカー本の編集者をやりたいと決めて入社しました。
中学で選手になるのを諦めたときから、将来はサッカー専門の編集者になろうと思っていました。
 
それで東邦出版を受け就職の時にその話をしたら、丁度W杯が日本で開催されたあとで盛り上がっていた時で、
会社としてもサッカーの本をやっていきたいと考えていたようなのです。
当時サッカー専門の編集者はいなかったので面白いと思ってもらえたようです。
 
イ:しかし、なぜ編集者という職業を選んだのでしょうか?
 
中林さん:それが自分の専門性、得意分野だったということですね。
勉強でいうと国語だけがなんとなく得意だったので。
小中学生のときからサッカーの雑誌や本を読んだりするのが好きでした。
 
そのときに「自分だったらこう作るのにな」と思ったり、AよりBの本が面白いな、という視点で見ていたんです。
 
そして編集者であれば本の現場にも、サッカーにも関われると思った、というところですね。
 
イ:当時からその視点で本を読んでいたとはすごいですね!
 
中林さん:とはいえまだ小中学生でしたから、そのページの企画に自分の好きな選手が入っているかどうかというのもあったと思います(笑)
 

■サッカー×別ジャンル。ファン以外の人にも気になる本を意識。


 
イ:初めてサッカーの本を出したときのことを詳しく教えてください。
どんな読者をターゲットに考えていたのでしょうか?
 
中林さん:当時、サッカーは雑誌がすごく強かった。ところが東邦出版は書籍の出版社です。
雑誌と同じことをやっても仕方がないし、雑誌に対するリスペクトもあったので他がやっていないことをやろうと、そこにはこだわりました。
 
初めて通った自分の企画はコリンシアン・サッカーフィギュアの本です。サッカー選手のフィギュア。
中には1万円程するものもあって、コレクターと言われる人達が結構いて、そういう尖った本の企画ばかり出していました。
 
イ:サッカー書籍の可能性を感じましたか?
 
中林さん:そうですね。雑誌と違って勝負できるところはまだまだあるなと思いました。
 
ただ僕の編集スタンスとして、サッカーの文化を日本に定着させたいというベースがあるんです。それはずっと変わらない。
そう考えるとサッカーのコアなファンだけに向けていても広がりがない。
サッカーと何かを掛け合わせてサッカー好き以外の人が見ても気になる本を作ることを意識しています。
 
イ:なるほど。例えばそれはどのような本でしょうか。
 
中林さん:『ジャイアントキリングを起こす19の方法 』というのがあります。
『ジャイアントキリング』というのはサッカー漫画ですが、そこに出てくるチームが現実世界にあったら?もしJリーグに所属していたら?という設定の本です。
 
オフィシャルの了解も得て、漫画に出てくるチームを解説したり、作中の監督にサッカー記者がインタビューした記事が載っていたり。
元々『ジャイアントキリング』が人気あるのは、様々な監督や選手に取材し、リアルなサッカーに限りなく近付けて作っているからなんです。
だからフィクションと現実を並列で扱っても、あまり違和感がない。
 
そしたら漫画の『ジャイアントキリング』のファンの方が
「Jリーグって本当に漫画みたいなことが起こるんだと思って、Jリーグを見るようになった」
と言ってくれました。それは狙い通りだったのでとても嬉しかった記憶があります。
 
本を通じてサッカーに興味を持ってもらいたいんです。
まだまだ開拓していきたいですね。
 

■本のテーマはサッカーを飛び越える


 
イ:サッカー×別ジャンルということで、ほかに印象に残っているものはありますか?
 
中林さん:定期的に刊行しているのは名言を集めた本です。
選手や監督の発言というのはすごく深い。サッカーからビジネスに繋がる点は多いです。
 
最近では梅崎司っていう、いま湘南ベルマーレでやっている選手の『15歳 サッカーで生きると誓った日』という本を出しました。
この本は重いテーマですが、ご本人から出したいというお話をいただいて刊行しました。
 
ご自身が幼少期に家庭内暴力のある家庭で育っていて、同じような環境にある人達に励ましや元気を与えたり、自分の経験を伝えたいという想いが込められています。
 
それはもうテーマとしてサッカーを飛び越えていますが、それをサッカーという枠も含めて出しましょうという企画を提案しました。
 
その他にも佐藤兄弟というジェフユナイテッド千葉と名古屋グランパスに所属している双子の選手の本を出しました。
「あきらめない勇気」という本です。
 
双子で切磋琢磨してきたのも面白いところなのですが、いまだに37歳で現役でプレーしている。
特別身体が大きいわけでもなく、今まで努力で築き上げて来た方なんです。これは伝えられるものがあります。
 
実は、お兄さんの佐藤勇人さんは不良少年だったんです。
その中で彼は2回、サッカーからドロップアウトしています。
2回も辞めていた時期があるにも関わらず、代表クラスまで上り詰めた選手は本当に珍しい。
 
途中で挫折しても辞めても諦めない、またチャレンジした、その想いを沢山の人に伝えたいという熱いお気持ちをいただいたところから始まった企画です。
このような本はどんどん出して行きたいですね。
 
 
中林さん、ありがとうございました!
 
サッカー文化を広めたいという強い思いから出発し、コアなファンだけでなくその他の分野に関心がある読者にもリーチする。
サッカーというたった一つのスポーツを多角的に捉える中林さん独特の切り口は、まだこれからも増えていくのでしょう。
 
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後編では、中林さんの考える「売れる本」についても語っていただきます。
どうぞお楽しみに!
 
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