一流編集者に聞く!売れる本の装丁とは(後編)

2018年9月01日

こんにちは、スタックアップです。
前編では自由国民社編集局長の竹内さんに、装丁におけるデザイン、マーケティングへのこだわりを伺いました。
 
後編でも、引き続き竹内さんに著者と編集者の関係性や今後の展望などについて、装丁の観点からお話を伺います。
 

 

■著者と編集者は運命共同体

 
インタビュアー(以下イ):引き続きよろしくお願いします。
竹内さんは前編の最後に、商業的観点からデザインをした結果、著者の方に驚かれるようなカバーデザインができあがることがあるとおっしゃっていましたが、装丁において、著者と編集者の関係性はどのようなものなのでしょうか?
 
竹内さん:私は、著者と編集者は運命共同体だと考えています。
著者の方の要望はなるべくお聞きするようにしていますし、デザインに関しても要望があれば可能な限り実現するよう努力しています。
 
大半の場合はこちらから提案する装丁アイディアをそのまま著者に受け入れてもらえることが多いです。
というのは著者とのコミュニケーションは非常に緊密で、著者の人柄や本のターゲットをしっかり理解し、互いに信頼しているためです。
 
その信頼関係があるからこそ、著者の方が最初は驚くようなデザインを提案しても、こちらの考えをお伝えすればご納得いただけます。
本の制作にこの人間関係は絶対必要です。
 
また、企画を通すために企画書の段階からラフとしてカバーデザインを用意するのも独自のやり方かもしれません。
こうすると企画を選考する担当者の視覚にも訴えかけることができ、良いにしろダメにしろ一段と企画を判断してもらいやすい。
結果として通りやすくなりますね。他の編集者にもすすめたいくらいです。
 

(竹内さんが手掛けられてきたヒット作の数々)
 

■本の中で語りかける著者と、部屋を設える編集者

 
イ:編集者と著者との間のコミュニケーションを重視されているとのことですが、本の内容に関してはどうでしょうか。
出版業では、著者の書いた内容に手直しを加えて売り出すこともあると思うのですが。
 
竹内さん:私は著者の書いた内容になるべく干渉しないようにしています。
前編でも言いましたが、私の仕事は本に看板をかけること。
著者の世界へ読者を誘うための看板と、入口であるドアを用意すること。後は「著者の世界」ですから私は口出ししません。
 
その先は著者の責任であり、明確に役割分担をしています。
その結果、中身の見せ方にしても業界の人から驚かれることがあります。
 
なぜなら出版業界は制作においてあらゆるところに昔からの常識というか、型のようなものがあり、それに沿って作られる本がほとんどです。
例えば文中の用語の使い方にも決まりがありますが、私はそこまでこだわりません。
 

 
本は「著者が読者に語りかける部屋」です。
私の場合、最初になるべく喋るように書いてくださいとお願いしていて、喋るように書いてくれていれば多少内容に同じことが出てこようがそれは必然だと思うんです。
 
喋っている時に一回も用語が重複しない人なんていませんよね?
表記のブレは修正したりしますが、一章と二章の言葉の使い方が違っていてもいいと思っています。
 
私がやることは時々部屋の扉から入ってエアコンを入れたり、ちょっと休憩しましょうとお茶出しをしたり、
部屋の風通しを良くしてなるべくスッキリと快適に読書ができるように読みやすくすること。
 
後は著者を信頼しているので、多少わかりにくいことを言っても最終的にはフォローできると思っています。だから手を加えない。
原稿を出されて、「手を入れる」という形で自分がコミットするのではなく、環境を整えてあげること。
おもてなし、設えをすることに専念したいくらい、著者の世界に自分の言葉で介入する気はないですね。
ただし見出しはある程度編集の責任です。「ここからこういう話ですよ!」という司会者みたいなところもありますからね!
 

■他の本との差別化


(自由国民社竹内さんと、スタックアップ後尾)
 
イ:前回、著者さんのキャラクターを意識するとおっしゃっていましたが、
例えばこちらの「平常心のコツ」で、著者さんはどの様なキャラクターだったのですか?
 
竹内さん:この本に関しては、著者のキャラクター+他との差別化を考えました。
著者の植西さんという方はものすごく沢山本を出されている方で、それまでの装丁は青空に花が咲くようなデザインが多かったのですが、私が植西さんと仕事をしていて感じたのは野原に花が咲いているようなほんわかした感じではなくて、もっと合理的に物をおっしゃっている方だと思ったんです。
なのでスッキリさせたかった。
 
まずタイトルは「平常心」にしたいと決めていました。
平常心というのは禅でも使われる言葉で、禅の場合「ビョウジョウシン」と読みます。
周りを囲っている円は禅の象徴とされ、よく書き初めなどでも用いられる「円窓」。
円窓の中に「平常心」を入れることでこの本の価値を伝えられると思いました。
 
今までの著者の本にない雰囲気を出したかったということと、その観点で著者のキャラクターの何を一番尊重すべきかと考えたときに、出た答えが「シンプル」にすることだった。禅のテイストを取り入れてこのように組み合わせることで、実際に売れました。
 
イ:なるほど。著者の方とのコミュニケーション、そしてその方の世界への理解が装丁において重要なのですね。
ここまで、著者の方との関係性を中心にお話いただいたのですが、今後、竹内さんが手がけてみたいジャンルや、需要が伸びると感じる本のジャンルはありますか?
 
竹内さん:これから高齢者の方が増えていくので、やはり健康本の需要は増え続けるのではないでしょうか。
健康で若い方は、PCやスマホなど電子媒体でも本を読まれるでしょうが、お年を召して身体が今まで通り動かなくなってきたときは紙が優しいものです。
そうであれば、紙媒体を中心に出版している私達だからこそ、心と身体の健康を推進し高齢者の方を幸せにする本を作りたい。
 
あとはスピリチュアル系の本。スピリチュアル系の本はターゲット層が年齢などで明確にグルーピングできず難しいのですが、最近星占いの本などが人気を博しているのを見て、これから試していくのは面白いんじゃないかと商機を見出しています。
 
これからは色々な本を手がけてみたいですね。
表紙や袖のための言葉を選んで、それで人を動かすことができるのは、この仕事の醍醐味で、うまく決まると本当にこの仕事でよかったなあとつくづく感じます。
 
 
竹内さん、ありがとうございました!
 
さて、前編後編にわたり、装丁について敏腕編集者の竹内さんにお話を伺いました。
 
業界内外問わず、物を創り出す方、広めていく立場の方々にとって非常に参考になるお話だったのではないかと感じます。
あちこちからの依頼で引っ張りだこ、ご多忙にも関わらず一つ一つの質問に本当に丁寧にお答えくださいました。
 
ぜひ次回のコラムも楽しみにしていてください。
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